秘密保護法案の成立に向けて安倍政権はなりふり構わず突っ走っている。民主党の賛同が得られなくても来週火曜日(26日)には衆院を通過させる方針と伝えられる。
「まだ間に合う」「何としても止めなければならない」。同法案に反対する人々の懸命の抵抗が続く。賛成議員にはボディブローのように効く事務所への電話、FAX。オーソドックスな国会前での座り込みなど抵抗方法はさまざまだ。
「秘密保護法反対」と書いたノボリを立てて国会議事堂の外周を走る「市民ランナー」も現れた。大阪府茨木市議会議員の山下けいき さん(新社会党)だ。
「今の憲法が大好き。現憲法が政治の原点」と語る山下さん。「この法案が通ってしまったら何もできなくなる。麻生さん(副総理兼財務相)が “(ワイマール憲法を形骸化した)ナチスの例に学べ” と言ったが、その通りになる」と顔をしかめた。
「国会前は人の目につきやすくていい。見学の小学生には “皆さんが国の主役です。それが主権在民です” と話すとよく分かってくれる。子どもだけでなく大人もハイタッチしてくれる」。山下さんは、したたる汗を拭いながら顔をほころばせた。
国会前で座り込み抗議をするために茨城県からやってきた男子学生(大学3年)もいる。来週から就活が始まるという。
「昨日の(日比谷公園発の)デモに行けなかったので、何か抗議をしたいと思い、ネットで調べてやってきた。秘密保護法の内容が分かれば誰でも反対するのに、通りそうになってしまっているところがおかしい。何が自分にできるのか分からないが “ 変だ ” “ おかしい ” という気持ちを表しに来た」。男子学生は淡々と語った。
反戦・平和を唱えて行動する市民運動に携わる男性(昭和20年=1945年2月生まれ)の姿もあった。
「小田実は “ 正義の戦争はない ” 」と言っていた。秘密保護法は軍事立法だ。ベトナム戦争時、沖縄から北ベトナムに爆撃機が飛び立っていたが、また同じことをやろうとしている。戦争をするのは権力の生理だ」。彼は安倍政権の本質を見据えて話した。
ありとあらゆる人が今、思い思いの方法で「秘密保護法反対」の声をあげている。民の声に耳を貸さない安倍首相は取り返しのつかない失敗をしでかすことになるだろう。
《文・田中龍作 / 諏訪都》