日本を暗黒社会に陥れる特定秘密保護法案がきょう、衆院で審議入りした。テレビがホテル、百貨店の食品偽装と「山本太郎バッシング」で はしゃいで いる間に、民草の首をしめる法律が作られようとしている。
“治安維持法でものが言えなかった戦前に戻してはいけない ” 危機感を抱く市民たちが国会前で抗議集会を開いた。平日の正午から始まったにもかかわらず約250人が集まった。
これまでの対政府交渉で「40万件プラスアルファもの項目が秘密指定される」ことが明らかになっている。しかも何が秘密なのかも明らかにされない。地雷原のなかで生活するようなものだ。
秘密保護の対象は「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動の防止」の4分野とされているが、タカをくくってはいけない。何でもこの4分野に当てはめることができる。
秘密事項は為政者である大臣やトップ官僚の一存で決まる。行政の長である彼らが、国会の審議も経ず恣意的に決め、恣意的に運用できるのである。彼らにとって知られたくないことは、すべて秘密とすることも可能だ。
婦人民主クラブの山田博子事務局長は「国民全部が絡め取られる。目、耳、口がふさがれる」と危機感を募らせる。
原発もテロ警備と称して秘密事項に指定される。内閣府官僚が対政府交渉で明言し、森まさこ秘密保護法案担当相が参院内閣委員会で答弁している。
集会には脱原発に取り組む人たちの姿も。東電株主代表訴訟の木村結事務局長は「秘密保護法反対」と書かれた横断幕を握って参加した。
「福島の原発事故でSPEEDIのデータは国民に知らされなかった。この法案(秘密保護法案)が通ったら、国民はもっと知らなくなる。テレビの情報を信じている人は、自分たちが知らない間に放射能で汚染されることになる」。
木村さんの父親は特攻隊の生き残りだった。「戦前、戦中は何も言えない時代だった、と父が話していた。私は “ なぜ戦争反対って言わなかったの? ” と父をなじったが、いま自分が父の立場にいる」。
きょうは朝から暗い時代の到来を予告するように冷たい雨が降った。集会が始まると雨は止んだ。「秘密保護法案の審議入りを許さないぞ」。国会議事堂に向けたシュプレヒコールがくもり空を突いて響いた。
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