2016年のオリンピック開催地を決定めるIOC総会を目前に控え、東京への誘致をアピールする代表団の出陣式が17日、都庁で開かれた。IOC総会は来月2日、コペンハーゲンで開かれ、石原東京都知事はじめ柔道の山下泰広氏、シンクロの小谷美可子氏ら有名スポーツ選手が現地入りする。
出陣式などという勇ましい名称とは裏腹に気勢はさっぱり上がらなかった。オリンピック開催への住民支持率が候補国中最下位であることに加え、皇太子殿下や鳩山首相の出席が絶望的だからだ。
石原知事に懐柔されてきた民主党都議団は一応賛成に回っていたが、民主党本部は東京オリンピックの誘致に消極的だ。本音は誘致反対である。
菅直人代表代行(当時)は「(新銀行東京など)都政の失敗をオリンピックでカバーしようする目論見になぜ国会議員が協力しなければならないのか」と語っていた。鳩山代表も不快感を示していた。
「行政のムダを見直す」とマニフェストに掲げている民主党が、国民の支持を得ない無駄の塊のようなオリンピックに賛成するとは考えにくい。
高度経済成長期ならいざ知らず、景気は戦後最悪の状態だ。国民の多くは明日の生活さえ危うい。にもかかわらずオリンピックとはKY(空気が読めない)も甚だしい。
東京オリンピックは招致費用だけで55億円、もし開催されれば約3,000億円もの巨費を要する。
出陣式で乾杯の音頭をとった森キロウ元首相(日本体育協会会長)は「鳩山首相には『自分が先頭に立って頑張る』と言ってほしかった」とグチをこぼした。
石原知事はさらに気が重い。自らが愛好するヨットにたとえ「こんなに戦いにくいゲームはない。風が読めないしまだまだ先がわからない」と溜息まじりにスピーチした。
ある民主党都議が本音を囁いてくれた。「自分はここ(出陣式)に来るつもりはなかった。ただ、どんな顔ぶれが来ているか見たかっただけ」。都議はこう言い残してそそくさと会場を後にした。
もはや出陣式などと呼べるものではなかった。
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