特別国会が16日召集され、民主党の鳩山由紀夫代表が内閣総理大臣に指名される。「首班指名国会」を前日に控えた15日、民主党は両院議員総会を、自民党は「党再生会議」を開いた。
民主、自民両党の会議はほぼ同じ時間に重なったため、筆者のような個人事業者は両方の会場を行き来した。民主党は紀尾井町のホテル、自民党は平河町の党本部だ。入場受付証となるリボンがアベコベにならないように2つとも胸につけた。
今回の衆院選挙で大勝し巨大与党となった民主党は所属議員が衆参両院を合わせると417人にもなる。日焼けが残って浅黒い議員たちの顔が、真夏の選挙の厳しさを物語っていた。
長崎2区で大ベテランの久間章生元防衛相を破った福田衣里子議員は「命を大切にする政治をしたい」と抱負を語った。立候補を決意した時と同じコメントがフレッシュさを感じさせた。東京10区で小池元環境相に競り勝った江端貴子議員は「雇用と介護に取り組みたい」。両氏とも生活者の視点でしっかりと語った。
民主党の両院議員総会会場から1キロと離れていない自民党本部はうって変わって鎮痛な雰囲気が立ち込めていた。歴史的惨敗を受けて設けた党再生会議が9日から断続的に開かれているが、15日は今回の総選挙で落選した前議員たちからのヒアリングが行われた。
「頑張ったのに大変だったねえ~」「いや~、君もここにいたのか」……。会場では落選議員たちの自嘲的なフレーズが飛び交った。
執行部が発言を求めると数え切れないほどの手が挙がった。吉田六左エ門・前議員(新潟1区)は「選挙立会い人の友人から『これまでとは全然違う階層が投票に来ていた』と聞かされた」と話した。選挙期間中同様、戸惑いを隠しきれないところにショックの大きさが窺えた。
葉梨康弘・前議員(茨城3区)は憤懣やる方ないのだろう。激しい口調でまくし立てた。「自民党は執行部も含めて国民の苦しさがわかるのか。あの内閣では官僚を使いこなせないことが国民に見透かされた。選挙に勝てそうだからと言って(麻生)総裁を選んだ我々も悪かった。我々は秘書も食わしている。霞を食って生きているわけではない」。
党幹部はマスコミが政権交代を煽ったと思い込み、落選議員たちは戸惑いあるいは憤る。これらは選挙直後に解決すべき問題だった。自民党の再生に向けた道のりは展望さえ開けない状態だ。
参院選も一年足らずに迫り、稀代の「軍師」である小沢民主党幹事長は手を着々と打ち始めている。かつては自民党支持だった業界を抱き込むなどは序の口だ。来年改選を控え、自民党に見切りをつけたがっている有望な自民党参院議員も引き込むだろう。健全な野党の誕生まではまだ長い時間を要しそうだ。
政権交代があっても本格的2大政党制の登場はまだ遠そうだ。
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