
「反貧困みやぎネットワーク」の学生ボランティアたちが料理を作った。=1日夕、仙台市 撮影:田中龍作=
子供が満足に食べられなくなったのは、大人が食べて行けなくなったからだった―
仙台市のユニオンとNPO法人が、今夕、生活に困窮する非正規労働者や失業者たちに無料で食事を提供した。「大人食堂」である。(主催:仙台けやきユニオン/ NPO法人POSSE)
メニューは「チキンもも肉のトマト煮」「もやしのナムル」にご飯と味噌汁。カップラーメンなども提供された。
非正規労働者は2,100万人(総務省2018年調べ)。彼らの平均年収は178万円(国税庁2016年調べ)だ。月収にして15万円未満である。家賃と光熱費を払えば、手元に残るのは良くて5万円位だろう。これでどうやって食べて行けというのか。
主催者によると、これまでの労働相談はパワハラや賃金未払いが中心だった。だが最近は「家賃が払えない」「1日2食しか食べられない」といった生活相談が増えてきた。伝統的な労働相談ではなくなったのだ。

大人食堂の他、弁護士やユニオンによる労働相談も開かれた。=1日夕、仙台市 撮影:田中龍作=
ユニオンがフードバンクと交渉して食料を調達したこともある、という。
主催者は「労働相談と生活相談をセットにしなければならなくなった」と厳しい表情で語った。仕事と住まいと食は三位一体なのである。
3ヵ月ごとに契約更新される非正規労働者の女性(40代)は、「こんなにたくさん食べられるとは思っていなかった。満足」と頬をゆるめた。
田中が知る派遣労働者は100円ショップのおにぎりが、50円になる夕方まで待ち、飢えを凌ぐ。
全国各地に「子ども食堂」ができたように「大人食堂」が各地に登場するのは間違いない。

勤め帰りに立ち寄ったという非正規労働者は、湯気の立つ料理を頬張っていた。=1日夕、仙台市 撮影:田中龍作=
~終わり~