役所の統計に官邸が口を出すことが、安倍政権の経済成長戦略の一つだったことが分かった。4日開かれた衆院予算委員会で小川淳也議員(立民)が指摘し明らかになった。
好景気の偽装は2016年5月18日、首相官邸4階の大会議室で開かれた第9回経済財政諮問会議(議長は安倍晋三内閣総理大臣)の説明資料に記されていた(写真参照)。
「経済財政運営と改革の基本方針2016(仮称)=骨太の方針」の第2章「成長と分配の好循環の実現」の中に「新たな有望成長市場」「TPP等に対応した海外の成長市場との連携強化」などと共に「経済統計の改善(改悪)」が掲げられているのである(写真参照)。
数字を都合のいいようにイジッて「成長と分配の好循環」を実現したことにしたい意図がアリアリだ。
小川議員は「なぜ統計改善(改悪)が成長戦略に必要なんですか?」と政府を質した。
茂木敏光・経済再生担当大臣は、質問には答えず、意味不明の答弁を続けた。安倍内閣得意の はぐらかし だ。
「第2次安倍政権になって凄まじい勢いで統計手法が変えられていった」。小川議員は政府統計を司る総務省の出身だ。「アベノミクス偽装」のため行政がどう歪められていったか、全体像をよく知っている。
偽装の本丸はGDPだった。自民党総裁に再選された2015年9月、安倍首相は「アベノミクス新三本の矢」として「GDP600兆円」の達成をぶちあげた。マスコミはもて囃した。
小川議員は、いくつもの段階でGDPがかさ上げされていった とした上で、具体例を次々と挙げた。
日雇い労働者が統計から除外された。賃金の安い日雇い労働者を計算に入れなければ、その分、賃金が高めに出るのは必定である。
驚いたことに根本匠厚労大臣は「事実です」とあっさり認めた。
インターネット通販が好調であれば、それを消費者物価指数に組み入れた。こうして都合のいい物ばかりを集めた数字に3を掛けたのである。
この年(2016年)の12月には首相腹心の山本幸三・行政改革担当大臣が臨時議員として経済財政諮問会議に乗り込み「政治主導で各省を動かし統計委員会を強く後押ししなければならない」と檄を飛ばした。事務方は身もすくむ思いだったに違いない。
こうして官僚たちは国の根幹である統計の改竄に手を染めていった。
~終わり~
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