給食の回数は減らされずにすんだ ―
鈴鹿市教委(学校教育課)が野菜の高騰を理由に幼稚園と小学校の給食の回数を今年度末までに最低でも2回減らすと決定し、学校や保護者に通知した問題。
末松則子市長はきょう、記者会見し市教委の決定を見直すことを明らかにした。事実上の撤回である。
中日新聞(2日付)の一面トップを見た鈴鹿市の末松則子市長や市議会議員は腰を抜かすほど驚いた。市教委の決定を新聞報道で初めて知ったからだ。
中日新聞記者の子供が鈴鹿市内の小学校に通っていたことから、問題は発覚した。父親である記者が事の重大さを受け、記事化したのである。
市長や市議会議員の説明によると―
市教委(学校教育課)が給食の回数を減らすことを決めたのは、給食会計の赤字が9月末時点で約900万円になっていたためだ。
1回の給食コストは350~400万円。2回強減らせば帳尻が合う。
給食問題に詳しい市議会議員は「食材を安い物に変えたりして対応できなかったのだろうか?」「給食の回数が減ることを安易に考えていたのではないか?」と首を傾げた。
鈴鹿市では幼稚園13園、小学校30校が給食を実施。園児662人と児童1万2千人が利用する。
独自で給食を賄う学校、幼稚園もあれば、給食センターに調理を依頼するところもある。割合は大体半々だ。
市教委(学校教育課)の通知を真に受ければ、会計が厳しくなった場合、3回以上給食を減らす学校も出てくる。
栄養のバランスがとれカロリーも十分な給食は、貧困家庭の子どもにとってライフラインと言ってもよい。
鈴鹿市では親の経済的事情により小学生1,300人が給食費を免除されている。10人に1人以上の割合だ。この子たちに どうやって弁当を持って来い というのか?
家庭の事情で満足に食べられない子のために、全国各地に「子ども食堂」ができている。朝日新聞の調査によると319ヵ所(5月末時点)に上る。
貧困家庭の子どもの命綱とも言える給食が、大人の短慮により奪われようとしたのである。
今回の問題はたまたま中日新聞記者の子供が鈴鹿市内の小学生だったことから明るみに出た。
給食会計が黒字の自治体は、めったにない。給食の回数減らしは、表沙汰になっていないだけで、日本のあちこちに埋もれているのではないだろうか。
~終わり~
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子どもが満足に食べられなくなっている国で、政治家とマスコミはオリンピック施設に300億円、500億円と当たり前のように言います。
その愚かしさと悲劇を指摘するため田中は三重県鈴鹿市まで足を伸ばしました。交通費がかかっています。ご支援何とぞ宜しくお願い致します…https://tanakaryusaku.jp/donation