国会がアベカラー1色に染まるのか。ひとつの選挙区の動向にそれが懸かっている。
民進党・岡田代表のお膝元三重県。野党統一候補の芝博一が敗れた場合、岡田は「9月の代表選には立たない」と宣言した。
岡田が代表でなくなれば、一番喜ぶのは改憲勢力であり、何より安倍晋三その人だ。岡田を去らせてはならない。田中は選挙戦最終日の取材先を三重に定めた。
時おり小雨の降るなか、岡田は地盤である四日市と桑名で芝博一候補(56歳)に付き添い、熱弁を振るった ―
「3分の2を獲ったら必ず憲法改正を狙ってきますよ…先輩たちが70年前、軸にして作った平和憲法を絶対に守らなくてはいけない」
共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ副党首と同様、岡田は「3分の2阻止」を訴えた。18日間の全国遊説で声はガラガラだ。
「私は退路を断ちました。芝さんが負けて、どうして私が代表を続けていられるでしょうか」
自らの進退がかかる選挙区で、岡田はさらにその声を からし た。
自民党は連日、閣僚・党幹部や人気者を送り込んだ。6日は丸川環境大臣と茂木選対部長、7日は稲田政調会長、河野国家公安委員長。8日に至ってはアッキーこと安倍昭恵夫人だ。
芝を落として岡田を代表選に立たせないようにするためである。自治大臣などを歴任した山本幸雄の孫・さちこ(48歳)を立てて臨んだ。
最終日のきょうは茂木敏充・選対本部長が応援に入った。選挙の最高責任者が乗り込んで来たのである。桑名市での街頭演説を取材した。
茂木は民主党政権時と比べて経済が上向いていると強調した。地方がサッパリ振るわないことについては「アベノミクスは道半ば」とした。
安倍首相はじめとする他の幹部と同様、憲法改正のケの字も言わなかった。
演説会場となったスーパーの駐車場を訪れた有権者の話を聞いた。
「憲法まで思いが回らない。個人(選挙区)では岡田(芝)さん、比例は自民に入れる。桑名は遅れているからね。ただ国政のことを考えたら民進党には勢いがない」。
芝が落ちて岡田の続投がなくなれば、次は蓮舫・代表代行が代表に選ばれるだろう。
解散総選挙が年内にもあるものと見られているからだ。選挙に向けて人気者をトップに担ぐのは政治の常道でもある。
蓮舫が代表に就任すれば、グループトップの野田元首相が復権する。そうなれば、民進党は名実ともに第2自民党となる。
蓮舫では、改憲派で日本会議に所属する松原仁や防衛政策が自民党に近い長島昭久を抑えきれない。
国権の最高機関を 親安倍勢力 が一気に独占すれば、本格的なファシズムが到来する。(敬称略)
~終わり~
皆様のご支援により全国を巡り各地の選挙情勢をお伝えすることができました。本当に有難うございました。~田中龍作