西日本の中心都市大阪で、中道政党が絶滅しようとしている。民進党の尾立源幸候補が落選濃厚となっており、予想通りの選挙結果となれば、民進党は大阪府での参議院の議席を失う。
大阪市議会ではすでに民進党の議席はゼロとなっており、大阪府議会(定数88)でわずか1議席を有するのみだ。
地元がこんな惨状で国政選挙ができるわけがない。選挙運動の核となる地方議員がいないのだから。
衆議院は大阪府19(選挙区)議席のうち、1議席を辻元清美(大阪10区)が死守する。辻元は前回の衆院選で、次点の自民候補に8千票差をつけての辛勝だった。
党勢の低迷が続くことから、人気の辻元といえども、次回の衆院選での当選が危ぶまれている。
衆院の比例復活を除けば、大阪の民進党の国会議員はゼロになるのだ。
民進党とは打って変わって強い勢力を維持しているのが、おおさか維新だ。大阪府議会、市議会ともに断トツの第一党だ。
今回の選挙では2人の候補を擁立した。天王寺駅前できょう、行われた松井一郎代表と高木かおり候補の街宣を取材した。
わざわざ来たという大阪市内の男性は「憲法改正は必要だと思う。いずれやらないといけないから3分の2を獲ってもらい内容の議論にあたればよい」と話し、改憲勢力としての維新に期待を寄せた。
松井代表は行財政改革の成果と必要性をしきりと説いたが、憲法改正については一言も触れなかった。
松井が強調したのは共産党への批判だった。「共産党は低所得者の味方ですよと言うが『自分たちの給料(議員報酬)上げろ』と一番うるさい。騙されちゃダメですよ・・・」。
なんば駅前で行われた共産党の演説会は聴衆が鈴なりとなり、百貨店の通路まで人で溢れた。
共産党の演説会は全国各地どこに行っても盛況だ。民進党の体たらくで野党と言えるのは共産党だけだからだ。
『田中龍作ジャーナル』がインタビューした人々は異口同音に憲法改正と共産党非合法化を警戒した。
共産党支持歴の長い男性(70代)は、党の躍進を喜ぶ一方で改憲に話が及ぶと表情は一転厳しくなった。
男性は「(思想信条の自由を)全面統制する恐れがある」と話し口を結んだ。
志位和夫委員長が「自民党に負けられません」「公明党にも負けられません」と呼びかけると拍手が起きた。
「補完勢力の維新にも負けられません」と続けると、拍手は各段に大きくなった。
改憲勢力の自民、公明、お維は共産党を目の敵にする。公明の仏敵でもある。共産党にとって改憲勢力である自・公・お維が脅威に映るのは無理もない。
話を民進に戻そう。大阪ばかりではない。民進党(旧民主党)の凋落は歯止めがきかない。
中道が勢力を失い右翼もどきの政党が議会を制圧すれば、共産党非合法化が現実のものとなる。一気に戦前戦中の思想統制の時代に戻る。(敬称略)
~終わり~
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