ガザ北部の町ジャバーリアで、24日午前2時頃、民家がイスラエル軍に空爆された。5人が死亡、19人が負傷した。
筆者が現場に着いたのは爆撃から8時間後だった。夜が完全に明け切らないうちに動けば上空から狙われるからだ。
現場は全壊が1軒、半壊が4軒。コンクリートの粉じんが宙を舞っており、息をすると咳こんだ。粉じんは目にも飛び込んできた。
全壊したのはミサイルが直撃したビルで、半壊したのは余波を受けた前後左右のビルだ。破片や爆風でやられたものと見られる。
バースン・アブ・アイタさん(23歳・男性)は、隣のビルの屋上に警告弾が落ちた音を聞き、すぐに1階まで逃げた。バースンさんは3階で寝ていた。
隣のビルには警告弾から2分後にミサイルが命中した。住人は全員避難して無事だった。バースンさんが住むビルは、その東隣にあたり、半壊した。
ミサイルが命中したビルの西隣はモスクだった。半壊した。穴ボコだらけとなったモスクの壁に掛かった緑色の旗が、東地中海からの海風に揺れていた。緑色はハマスのシンボルカラーだ。
モスクはハマスが関係する施設だったのである。ハマスを狙ったのであれば、イスラエルはなぜモスクを直撃しなかったのか?
イスラエルはミサイルを命中させたビルにハマス関係者が住んでいると見ていたようだ。
イスラエルは上空からの偵察と内通者からの密告情報で判断する。
とりわけ密告のウエイトは大きい。2008~2009年の侵攻では、数えきれないほど多くのモスクが爆撃された。
着弾したミサイルが爆発した後、間があって、今度は大爆発が起きる。モスクの地下が火薬庫になっていたのだ。
内通者からの確度の高い情報がなければ、こうはいかない。
ハマスが普通の市民に紛れ込んでいるため、市民の巻き添えが増える。人民の海を利用するゲリラ戦術だ。
この日の夕方、1千人余りの住民が避難する国連の施設がイスラエル軍の攻撃を受け、15人が死亡、約200人が負傷した。
『エルサレムポスト』によれば、イスラエル軍広報は「ハマスのロケット弾が避難所の近くから発射されたため撃ち返した」とコメントとした。誤射を認めた格好だ。
イスラエル軍のような強大な軍隊に立ち向かうにはゲリラ戦しかない。イスラエルとハマスがどこかで妥協して和平を結ばない限り、無辜の市民たちが果てしなく命を落とす。
パレスチナ人の死者は、イスラエル軍の空爆開始から2週間余りですでに800人を超えた。
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