「原発ゼロ」を口にするのは簡単だ。原発を再稼働させた野田政権でさえ「2030年代までに原発をゼロにする」と言って国民をだましていた。原発ゼロへの本気度を測るのは再稼働を容認するか、しないか、だ。
東電は柏崎刈羽原発の7月再稼働を目論む。記者会見で田中龍作ジャーナルは細川氏に質した。「柏崎刈羽原発の再稼働はどんなことがあっても阻止するか?」「東電の株主総会で再稼働反対の株主提案をするか?」と。
細川氏は「もちろんです」と明確に答えた。ライバル候補である舛添元厚労相のように「僕は脱原発です」としながら「すぐにゼロというのは無責任。中長期的に見て…」などと訳のわからないことは言わない。
「世界が変わるには豊かな国が大量消費からシフトして変えるしかない」「傲慢なやり方からは幸せは生まれない」「核のゴミは捨てる場所さえない。後の世代に対する犯罪行為だ」「いつまでも原発にしがみついていると日本はとり残される」…細川氏は脱原発の哲学を淀みなく語った。
同じく脱原発を掲げる宇都宮健児氏との違いについて聞かれると細川氏は次のように答えた―
「(宇都宮氏は)他の問題を同列にしている。私は(脱)原発、再稼働(阻止)が何をもってしても最初の問題としている」。
原発推進メディアの記者からは争点ずらしの質問が飛んだ―「原発は国の政策だ。なぜ都知事なのか?」
細川氏は「東京が(電力の)最大消費地なのでここ(東京)からもの申すことに意味がある」と答えた。
質疑応答が始まる前に「都知事の第一の責任は都民の生活を守ること。オリンピックやTPPどころではない。原発こそ最重要争点だと思う」とも話している。これが原発推進メディアには面白くなかったのだろう。
20年前に起きた佐川急便からの1億円借り入れ問題についても執拗に追及された。
「すべて返済し終え、根抵当も消滅している」と淡々と答えた。舛添氏のように簡単に怒り出すようなことはなかった。
高齢(76歳)について聞かれると、「不条理に対して戦う気力があれば老いることはない」。元首相は残りの人生すべてを脱原発にかける。