ディレクターが「キュー」でも出したかのような見事なタイミングだった。きょう午前11時15分。NHKの国会中継が終わると同時に、衆院国家安全保障・特別委員会の額賀福志郎委員長が「これより特定秘密保護法案の採決に移ります」と宣言した。
数十秒後、「起立多数により本法案を可決と見なします」。額賀委員長の声が響く。天下の悪法が衆院特別委で可決した瞬間だ。
筆者はNHKテレビと衆院インターネット中継の両方を見ていた。
法案に反対していた生活の党、民主党議員らは額賀委員長の席に駆けより、机をバンバンと叩く。
委員会を傍聴した市民にインターネット(衆院)のカメラが追えない場面や声を話してもらった―
国会議員の傍聴席は自民党議員で一杯だった。やる気満々なのが伝わってきた。
「福島の声を無視するのか」……法案に反対する野党議員から怒号が飛んだ。「国民の目と耳を塞ぐのか?」「恥を知れ」傍聴の市民も声をあげた。
国会前(衆院会館前)には強行採決に怒る人々が詰めかけた。歩道はプラカードや横断幕を手にした人たちで一杯だ。
「国民をバカにするな」「本会議での強行採決は許さないぞ」…国会議事堂に向かってシュプレヒコールが響いた。
夕方からは首相官邸前で抗議集会が催される。