17日夜9時頃(日本時間18日午前3時頃)だろうか、イスラエル海軍が猛り狂ったように艦砲射撃を始めた。
ネット環境の良いホテルの1階ロビーでは、フランスのテレビクルーたちがPCに向かっていた。筆者もその中にいた。
だが浜辺に近い1階ロビーは狙われる危険性がある。前日、ホテルの前の浜辺でサッカーに興じていた少年が、イスラエル海軍に撃たれて死亡した。おそらく高速ボートからの機銃掃射だろう。
身の危険を感じたため、皆、上層階の自室に上がった。
自室に戻って3分も経たなかった。ホテルのスタッフが激しくドアを叩いた。「イスラエル軍から連絡があった。ここを20分から30分後に出ろ、海岸の方に行け、と言ってる」。爆撃予告だ。
「海岸?」 気になったが、とりあえずカメラとPCを携えて自室のある6階から1階まで駆け降りた。
同じホテルに滞在していた海外メディアのクルーたちは続々と車に乗り込んでいた。隣りのホテルに滞在していたクルーたちも、退避を始めていた。ほとんどが防弾チョッキを着け、ヘルメットを被っている。
誰一人として海岸の方に行くジャーナリストはいない。
筆者の足は友人の車だが、友人は来ることができない。自宅がイスラエルとの境界に近いため、すでに激しい爆撃にさらされているのだ。
ここにいたら殺(や)られるだろうなあ ― 途方に暮れていたところ、「この車に乗れ」と勧めてくれた青年がいた。パレスチナのテレビクルーだった。
車は猛スピードで闇夜のガザを走った。先ず避難したのは、「パレスチナ・メディアセンター」だった。
だが「パレスチナ」と頭についているため、ここも狙われる危険性がある。
パレスチナのジャーナリスト共々、ふたたび別の場所に移動した。
先ほどまで ひっきりなし だった空爆が下火になった。世界有数の強さを誇るメルカバ戦車を先頭に立てた陸上部隊が、本格侵攻を始めたのだろう。
陸上侵攻につきものの大規模虐殺が起きないことを願う。
それにしてもパレスチナ人のホテルスタッフたちが気がかりだ。イスラエル軍の言葉を鵜呑みして海岸に行ったりしていないことを祈るのみである。
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