国民の多くは昨夜、「稀代の悪法」が成立したショックから覚めやらない。“ 怯んではいられない ” 夥しい数の市民たちがきょう渋谷で「秘密保護法反対」「3年後には政治をひっくり返すぞ」と叫んでデモを繰り広げた。
大デモを呼びかけたのはミュージシャンの三宅洋平さん。三宅さんと夏の参院選で二人三脚を組んで戦った山本太郎議員がデモ出発前にスピーチした―
「特定秘密保護法を廃止する法律を野党側から投げ続ける。巨大な権力を非暴力でひっくり返していかなくてはならない。秘密保護法が施行されるまでの1年間につながりのパイプをもっと太くしていかなくてはならない。秘密保護法による犠牲があったら皆で取り戻しましょう。きょうからが始まりです」。
山本議員はジャーナリストや他の野党議員に先駆けて秘密保護法の危険性を訴え、全国を行脚していた。なのに昨夜目の前で可決されたのである。山本氏の悔しさは人一倍のはずだ。
政治状況をひっくり返さないことには、「秘密保護法」を廃止できない。原発を止めることもできない。下地はある。夏の参院選挙では無党派の市民たちが「脱被曝」「反TPP」「反過労死」でつながり、山本太郎氏を当選させた。つながりを大きくそして太くするプロジェクトがいま進行中だ。
つながるキーワードがひとつ増えた。「反秘密保護法」だ。デモ隊のなかに長野県佐久市から足を運んだ女性(50代)の姿があった。彼女はこれまでデモ・集会の類には参加したことがなかった。
だが、知る権利を奪う悪法に黙っていることができず、先月27日地元で開かれた「秘密保護法反対デモ」に参加した。初めてのデモ体験となった。きょうが2度目だ。「嘆いていられない。これから始まり」。彼女はポジティブだ。
昨日も一昨日も国会前で「秘密保護法反対」の声をあげていた女性(20代・オーガニックコスメ販売)は次のように話す―
「3年後の選挙に向けて意識を高めてゆきたい。ヨコのつながりを広くしてゆきたい」。
国民は「311」で政治やマスコミの嘘に気付き、「秘密保護法」で日本の民主主義の脆さを思い知らされた。
憲法が保証した基本的人権さえ ないがしろ にしかねない悪法が、人々を政治に目覚めさせたのである。