山本太郎議員の「全国後援会」の発足を前に、サポーターたちがきょう、キックオフ集会を国会内で開いた。「東京後援会」の立ち上げのはずだったが、北海道、福島、大阪、九州などからも支援者が手弁当で駆け付けた。
国会議員の後援会は通常、選挙区ベースだ。集会は政治資金集めを兼ねる。
だが山本議員の後援会はこのスタイルをとらない。北海道から沖縄まで9ブロックからなる全国組織である。被曝を逃れた人たちが各地に避難しているからだ。
資金集めもしない。「資金集めをすると古臭い政治になってしまう。太郎さんを通じて私たちが政治参加することに後援会の意義がある」。後援会発起人の村上さとこ氏はこう話した。
「コイツだったら私たちのメッセージを国会に伝えてくれるんじゃないかということで僕が通った。あなたが訴えたいことを山本太郎を通じて実現して下さい。一人ひとりが山本太郎の秘書です。一人ひとりが議員です」。山本議員も後援会の趣旨を語った。
会場は子連れの母親が目立った。「脱原発」「脱被曝」を掲げて当選した山本議員の集会らしい光景だ。
ホットスポットの松戸市から浦和に子供(3歳)と共に避難した母親は、仕事を休んで参加した。「原発と被曝をなくしたい。声が声にならないのがもどかしい。太郎さんが動きやすくなるように、地元の議員を変えてゆきたい。これからが始まり」。子供を膝に置きながらたくましく話した。
「足立こどもを守る会」の母親は子供(4歳)を抱いて参加した。「給食や校庭の放射能測定を頼んでも、行政は『大きな変化がないとできない』『国の基準…』の繰り返しで動く気配さえない」。
2歳の子供を持つ多摩市の母親は「不安な未来を子どもたちに残したくない」と言う。
母親たちに共通しているのは、子どもをこれ以上被曝させないようにするため太郎議員に動いてほしい、という切実な願いだった。
分厚い政策提言集を山本議員に手渡す支援者たちもいた。ある中学校の理科教師は、体内被曝と外部被曝の両方を加味した対策を6時間がかりで書き上げた。
山本議員は9月後半から全国遊説キャラバンに出る。「ビール箱と拡声器、人通りが多い場所さえ用意してくれたら、僕は身ひとつでどこへでも行きます」。市民の手で国会に送り出された山本議員らしく語った。
復興庁はきょう「原発事故 子ども・被災者支援法」の基本方針案を示したが、基準となる放射能の線量や濃度は示さなかった。空念仏のまま汚染地帯の人々は放置されたままになりそうだ。
「避難している人に手を差し伸べなければ(子ども・被災者支援法は)骨抜きになる。一刻の猶予もならない」。子供や住民を汚染地帯から逃がそうとしない国と山本議員との戦いはこれから本格化する。
《文・田中龍作 / 諏訪都》