「廃炉こそ新しい公共事業」「TPPは羊の皮を被った狼」「増税して景気浮揚した国はない」……一人となっても正論を説き続ける政治家を、“国防軍”と“福祉切り捨て勢力”に支援された官僚出身の候補者で潰そうとしているのが、衆院兵庫8区(尼崎市)だ。
前回(09年)の選挙では田中康夫氏(新党日本)が、公明党の冬柴鉄三幹事長(当時)と生き馬の目を抜くようなデッドヒートを演じた末当選した。その差わずか2,037票。(得票率:田中42・2% 冬柴41・3%)
自公政権への猛烈な逆風が吹き、公明党・創価学会の金城湯池である兵庫8区で、新顔の田中氏が議席を獲得したのだった。だが今回状況は一変した。自公への逆風はほとんどない。むしろ追い風だ。
9日、田中氏はNHKの討論番組に出演した後、選挙区に引き返し有権者に訴えた――
「TPPは農業問題とすり替えられている。(本質は)我が国が誇る国民皆保険を壊すことです」「原発を再稼働しなければ即脱原発なんです」…きれいごとの裏に潜む野田政権のウソを田中氏は指摘した。
尼崎市内のショッピングセンター前では、買い物客が足を止めて耳を傾けた。
「民主党は絶対イヤ、かと言って自民党(政権)に戻してはいけない。第3極に伸びてもらいたい」(40代男性・派遣社員)
「(田中氏の説く)TPPや税制は頷ける。大政党に属さずにやっているところがいい」。(30代男性・会社員)
街頭演説で田中康夫候補は繰り返した。「日本は強きを助け、弱きをくじく間違った社会になってしまった。私は守る人を間違わない」。
マスコミと霞が関が望む自・公・民政権になれば、「消費税増税」「TPP加盟」「原発再稼働」は避けられない。1%の強者のために99%が犠牲となる社会にしてはならないのである。