8月にも伐採開始が予定される神宮外苑を、国会議員たちが今日5日、視察した。非公開、お忍びである。
視察に訪れた国会議員は衆院環境委員会の委員たちで、構成は自民4人、立憲2人、維新1人。
集合場所となっていた神宮球場に行くと、事務方を務める衆議院調査局の役人が怪訝な顔で田中に言った。「どこから聞いてきたのですか? きょうは非公開なのですが…」と。
球場の職員と見られる人物がすかさず畳みかけてきた。「私有地ですので出て行ってください」。
田中は神宮球場の敷地から排除された。再開発に伴う取り壊しが進む第2球場で、一行は事業者(三井不動産と見られる)から説明を受けていた。田中はフェンスの隙間越しに確認した。
おりしも鉄塔の撤去作業が行われていた。鉄塔がなくなると周辺の木々が伐採される。
成田空港(三里塚)を思い出した。鉄塔は物理的に飛行機が飛べないようにするため建てられた。名実ともに空港反対運動のシンボルだった。
機動隊と農民、学生との凄まじい攻防のすえ、鉄塔は撤去された(1977年)。天王山の戦いは政府が勝利したのであった。
国会議員の一行は続いてイチョウ並木を視察した。葉もふくらみ、緑のアーチが目に眩しい。
衆議院調査局の事務方は「非公開ですので」と再び田中を排除にかかった。
田中は「ここは公道ではないか」と突っぱね、国会議員に同行した。
野党議員が「枯れ始めている木もありますね」と問うと、ジャケット姿の男性が「大丈夫です」と答えた。三井不動産による調査はイコモス(国際記念物遺跡会議)が疑義を呈している。
田中が「三井不動産の方ですか」と聞くと、男性「はい、そうです」と言って不快感を露わにした。
視察が終わると、地元住民で作る「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」が野党議員に要請文を手渡した。「説明会をオープンなものにしてほしい」などとする内容だ。
きょうの国会議員視察もオープンではなかった。国民に真相を見せたくない時、権力はこっそりと動く。
~終わり~
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