日曜の昼下がり、官邸前で異変が起きた―
この日、学術会議への人事介入に抗議するF氏(自営業・46歳=都内)がパンケーキ店を開いていた。29日に続いて2度目だ。
前回のような私服刑事や東京消防庁の監視もなく穏やかに時間が流れた。
通りがかりの人や官邸前で読書をする人たちが、F店長の焼くパンケーキに舌鼓を打った。
そこに現れたのがシンガーソングライターのアキバウリさん。パンケーキを一皿食べた彼女は「スガさんにパンケーキを届けたい」と言い出したのである。
「(自分が食べて)美味しかった物をスガさんが『有難う』というかもしれない」と出前の動機を語った。
官邸に向けての横断歩道は意外にもすんなり渡れた。だが、すぐに10人を超す制服警察官が立ちはだかった。
「スガさんにこれ(パンケーキ)届けたいんですけど」
「ダメです。入れません」
アキバウリさんは、歌やパフォーマンスによる心理作戦で警察の守備陣形を崩そうとした。だが、崩せなかった。結局、警察官に囲まれる形で道路の反対側に戻された。
「一歩だけだったけど(官邸の敷地に)入れたよ」と顔をほころばせた。
社会の裏に通じたF店長は、面妖な人物や悪党を目の前にしても怯まない。
だが、さしものF店長も「やっちゃいましたねえ。僕らができなかったことをやってのけた。ヘタな政治活動家より恐ろしい」と舌を巻いたのであった。
~終わり~