「討ち入り5人衆」は、魔境の主人公(とされている!?)検察審査員の存在にこだわった。事務局への取材で以下のことが判明した――
検察審査員の任期は半年。22人の審査員は4つのグループ(群)から成る。第1グループと第3グループはそれぞれ5人ずつ。第2グループと第4グループは6人ずつ。
審査員はグループごとに選挙管理委員会が推薦してきた100人の中から選ばれる。事務局の説明によれば、実際に審査員を選び出すのはコンピュータだ。
I 記者が「ソフトはどこの社(の製品)ですか?」と突っ込んだ。
「それは言えません」と事務局。
「競争入札ですか、指名入札ですか?」
「それも言えません」
「検察官適格審査会」の委員である森ゆうこ議員(民主党)が、検察審査会に問い合わせたが、提出されたのは「仕様書」のコピーだった。
本当に使用しているのかも含めてソフトへの疑念は深まるばかりだ。審査員の選出作業には、第3者が立ち会う必要があるのではないだろうか。
東京地裁・高裁3階に事務局を構える東京検察審査会。日当りもよく室内は明るくて清潔感が漂う。だが「あれも言えない」「これも言えない」を連発されると、「何かを隠しているな」と思うのが記者だ。
やりとりを続けているうちに小川裕夫記者が、あることに気付いた。壁に貼られた「全国検察審査協会連合会」のポスターである。
「全国検察・・・って何をやってる組織ですか?」。O 記者は手嶋総務課長に尋ねた。同総務課長によると「全国検察審査協会連合会」とは次のような組織である―
検察審査員OBによる親睦会で、検察審査会の普及を目的としている。60年も前から存在しているため構成員は1万2,000~1万3,000人。終身会員である。活動は親睦を深めるために旅行に出かけることだそうだ。
縦80センチ、横50センチの大型ポスターの絵柄は「11面観音」だ。検察審査会の構成が11人の審査員から成ることにちなんだものだという。人を喰ったような話だ。ポスター製作の経費は構成員の自腹だという。
検察審査員をわずか6ヶ月務めた後、定期的に旅行に出かけ自腹でポスターを製作する。何かの見返りがあるのだろうか。事務局はなく検察審査会が取り次ぎ窓口になっているのだそうだ。ますますもって不可解である。
『ブラックボックスの中にさらにもう一つのブラックボックスがある』といった感じだ。エッシャーの『だまし絵』を見せつけられているようにも思える。
取材をすればするほど検察審査会への不信は募るばかりだった。
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