「脱原発の社会を目指します」。選挙戦最終日の9日朝、地元紙の雄『新潟日報』に全面広告が載った。広告主の名前を見て田中は腰を抜かした。広告主は自公が推す花角英世候補なのである。
花角氏は「職を賭して信を問う」と述べ、(再稼働について)判断を下した後に辞職し出直し知事選を行う方針 ― 時事通信(5月24日)が配信した記事だ。
9日夕にあった街頭演説の後、田中は上記の記事について花角候補に質問した―
田中「報道にあったように出直し選挙をするのか?」
花角候補「出直し選挙という言葉はひと言も使ってない。信を問うと言った」
田中「信を問うとは具体的にどうするのか?」
花角候補「検証作業(※)がどの段階でおわるのか分からないので・・・(中略)責任を持って判断して、それを県民に示して理解頂けるかという作業が必要」
花角候補の本音が出た瞬間だった。言葉通りに解釈すればこうだ―
かりに花角氏が知事になったとして検証結果が出たとする。検証結果を見た花角知事が「再稼働OK」と判断すれば、福島原発事故を起こした東京電力の柏崎刈羽原発は、再稼働するのである。原子力規制委員会の御墨付きはすでに得ているのだから。
9日夕方、今回の選挙を象徴するハプニングが新潟駅前で起きた。脱原発運動を続けている市民集会のすぐ傍で、花角候補の街宣車が赤信号のため止まったのである。
ある男性は「再稼働させないのか? させるのか? はっきりしろ」と迫った。花角氏は不機嫌な顔をしてソッポを向いた。支持者の前で見せる笑顔とは、全く別人格の顔だった。
選挙情勢の調査分析では定評のある報道機関によると、両陣営は互角。投票率が前回並み(53・05%)であれば、野党共闘の池田候補が勝つ。投票率が50%を切るようなことになれば、自公の花角候補が勝つ。
(※)
検証作業とは米山前知事の原発政策で「3つの検証」と言われる。「福島原発事故の原因検証」「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」の3つである。
〜終わり~
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新潟県知事選挙は、子どもたちの未来を暗然とさせる危険性を秘めています。安倍独裁にお墨付きを与えかねない選挙の現状を伝えるために新潟まで足を伸ばしました。
パレスチナ取材でこしらえた借金がさらに膨らむことは覚悟のうえですが、財政破綻を考えると怖くなります。ご支援何とぞお願い致します。