加計学園による補助金水増し請求の動かぬ証拠である今治獣医学部棟の設計図。大概の1級建築士が水増しは2倍とも3倍とも見ている。水増し金額は最大で80億円にもなる。
工事関係者からの設計図流出がもし国会会期中で、民進党がもしグダグダでなかったら安倍首相は発狂していた。
加計疑惑の追及を恐れた与党が通常国会の幕を降ろしたのが6月18日。設計図の流出は7月23日だった。翌24日、民進党追及チームに渡る。
加計疑惑などをめぐる国会の閉会中審査は7月24日(衆院予算委)と25日(参院予算委)だった。設計図が野党第一党に渡ったのは閉会中審査の初日だ。遅かった。
「水増し請求詐欺」を確実に立証するには設計図に加えて「積算見積もり書」が必要だ。同書は6月12日に加計学園から今治市に送られてきた。今治市民が情報公開請求したが拒否された。
「積算見積もり書」がなくても水増し請求詐欺を立証する方法はある。国交省に建設資材や単価を網羅した「データ一覧」があり、設計業者はその「データ一覧」をもとに建設費を積算する。
内閣府から「出すな」と圧力をかけられている今治市が、加計学園から送られてきた「積算見積もり書」を出すはずがない。
だが国交省のデータを用いて、専門家チームが資材の規模や数量を割り出しながら積算していけば、実物の加計獣医学部棟の建設費に限りなく近い数字が弾き出される。
しかし民進党はそうした努力はしなかった。100億円を超す資産があったのだから、外部の専門家から成る調査チームを組めばよかったのだ。
民進党は安倍内閣を倒すのと真逆のベクトルを働かせた。お家騒動だ。設計図が民進党に渡った3日後の7月27日には蓮舫代表(当時)が辞任。その後の破局的大混乱はあらためて述べるまでもない。
だが皮肉にも民進党の分裂により、不発弾は永田町の一角に残された。今度は起爆装置付きで。
今治市民が加計孝太郎理事長を詐欺で訴えた裁判で水増し請求が立証されれば、世論は補助金交付を許さないだろう。
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