今治市が加計学園に無償譲渡したはずの37億円相当の市有地は、いまだに加計学園の所有として登記されていないことが、田中龍作ジャーナルの取材で分かった。
丘陵地帯に広がる16・8haの市有地は、3月3日開かれた定例市議会で加計学園への無償譲渡が正式に決まった。今治市役所はこの後、すみやかに移転登記するとしていた。
加計学園の誘致を主管する今治市企画課によると「市議会の議決をもって所有権は加計学園に移転する」ということだった。不動産専門家によると慣行上、今治市の見解は正しいそうだ。
ところが件の土地の所有者は「今治市」のままだ(8月14日午後1時現在)。田中はこの日、法務局に足を運び登記簿をあげてみたのである。加計学園への無償譲渡を決めた市議会の議決から5ヵ月余を経ているのにもかかわらず、だ。
法務局のベテラン職員によると、公的機関が物件を動かした場合は、(不動産登記法・第16条により)公的機関の嘱託がなければ、登記できない。
今回のケースで言えば、加計学園側が「議会で議決されたのでウチの土地です」と言って、勝手に登記することはできないのだ。
今治市がまだ移転登記していない理由に事の核心がある。今治市企画課は「大学設置審の認可が下りてから」というのだ。
無償譲渡した土地は加計学園が担保設定できる。これは市議会で承認されている。
アベ友・加計学園はタダでもらい受けた土地を担保に借金ができるのだ。今治市民が血税であがなった土地である。ただし土地が登記されていればの話だ。
もし大学設置審の認可が下りなかった場合、加計学園は更地にして今治市に返却しなければならない。愛媛県と今治市による校舎建設費(192億円)の半額(96億円)補助もなくなる。
キャンパスの建設は急ピッチで進んでおり、校舎の外観はほぼ整いつつあるほどだ。これを更地にして返すとなると加計学園は間違いなく倒産する。
安倍政権が続けば、10月にも予定されている大学設置審の答申が「不認可」となることは考えにくい。
だがもし「不認可」となりそうな場合、安倍首相は衆院解散を打つ ― との見方が永田町にある。選挙に勝ち、有無を言わさず、文科省に認可させるのだ。「加計解散」である。
〜終わり~