北海道は改選議席が1つ増え3議席となった。自民、民進ともに2人ずつ候補者を立てる。全国有数の激戦区だ。
「自民2、民進1」となるのか「自民1、民進2」となるのか。共産も候補者を擁立する。最後まで混戦が続きそうだ。
民進は現職の徳永エリと元経産相の鉢呂吉雄を擁立している。2人はきょう同じ時刻に札幌ドーム前で街宣活動をした。
「地元・北海道日ハムVS阪神タイガース」を観戦に訪れた数万人の北海道民に握手を求め、チラシを配るなどして浸透をはかった。
「徳永さ~ん」と手を振ってくる年配者。「鉢呂さん、おやじに言っとくね」と駆け寄ってくる青年・・・2人とも知名度は申し分ない。
鉢呂は東電福島原発事故後の2011年9月、マスコミがねつ造した「放射能つけちゃうぞ」により、経産相辞任に追い込まれた。2012年、2014年の衆院選で落選したが、党本部の要請で今回参院選に鞍替えした。
鉢呂側近の札幌市議会議員は「ああいう形で辞めざるを得なかった悔しさをバネにして頑張る」と奥歯をかみしめた。
北電労組の支持を得ていることもあり、今回の選挙では原発に触れない。
元テレビリポーターで現職の徳永エリは幅広い人気があり、安定した選挙戦を展開している。
連合は表向き徳永支持だ。しかし「民進から2人通す」という至上命題があるため、連合は鉢呂に票を回すだろうと言われている。(地元ジャーナリスト)
徳永はストレートな発言がウリで「原発反対」を明言する。「『原発反対』を口にする徳永さんを応援する」と話す支持者(40代女性)もいるほどで、連合にとっては煙たい存在だ。
社会党出身で衆院議員を7期23年務めた鉢呂は、地元労働界にとって頼れる政治家である。社会人としてのスタートが農協だったため農民連からの信頼も厚く、鉢呂の唱える「TPP反対」は有無を言わさぬ説得力がある。
共倒れの心配はないのか。目が離せないのが市民グループの動きだ。彼らは4月の衆院北海道5区補選でイケマキこと 池田まき を担ぎ出し、自民公認候補を追い詰めた。
市民グループと鉢呂吉雄、徳永エリ(民進)、森英士(共産)は公示までに政策協定を結ぶが、「原発問題」を外すことにしている。
保守系の票も取り込んで、一票でも多く得るためだ。理想をかなぐり捨て、大同団結した時「自民1、民進2」も見えてくる。(敬称略)
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