れいわ新選組の山本太郎代表が東京8区から立候補すると宣言して以来、公の場から姿を消していた立憲東京8区の吉田はるみ総支部長が、きょう、5日ぶりに支持者の前に現れた。
霧雨の降る阿佐ヶ谷駅前には、6年間共に汗を流しながら政策を練り上げてきた地元支援者たちが集まり、吉田を出迎えた。
吉田は用意してきた原稿を読み上げた。原稿は「8区から出馬しないことを決断した山本太郎さんに敬意を表します」で始まった。「山本さん、一緒に街宣しましょう。野党が共闘して政権交代することに本気であると共に訴えましょう」と続いた。
不自然だった。山本と立憲の幹部が緊張関係にあることから、山本を称えて事態を収拾したいとの意図が透けて見えた。
吉田は原稿を読み上げると、間髪を入れず会場を後にした。これまた不自然だった。記者団は後を追った。吉田は地元有権者に次ぐ最大の犠牲者だからだ。
吉田は愛着のある8区から、トップダウンで剥がされそうになっていた。幹部から「来夏の参院選に出すから8区は山本に譲ってよ」と強引な説得を受けていたのだ。立憲とれいわ双方の関係者によると、強引な説得は、山本太郎が出馬を撤回する昨日まで続いていた。
記者団は「交渉の経緯はどうなっているのか?」「(山本に8区を譲り自分は参院選に回る)念書はあったのか」などと記者団は質問を浴びせたが、吉田は無言のまま事務所に引き揚げて行った。
「余計なことは話すなよ」と幹部から指示されていたのか。密室談合の犠牲者だった吉田は一言も語らないままだった。
現場にいた吉田陣営の地元都議会議員は「私たちにも知らないことが多過ぎる」と戸惑いの表情で語った。この一言が事態を表していた。
(文中敬称略)
~終わり~