野党候補がゼロ打ちで圧勝した横浜市長選挙。
候補者らと共にバンザイ三唱のステージに立った、ハマのドンこと藤木幸夫氏が“予言”した。「菅は今晩あたり俺の所に電話してきて『(総理を)辞めます』なんて言うんじゃないかな」。
すると、立憲民主党神奈川県連の青柳陽一郎幹事長が言った。「待って下さい。菅総理が辞めるのは総選挙の後と言って下さい」。
場内は笑いに包まれた。青柳氏の発言は立憲の実情をいみじくも物語っていた。
お粗末極まりない菅政権への反発が、立憲を押し上げただけなのだ。敵失で勝ったことは火を見るより明らかだった。
立憲への支持率は10%に届くか届かない程度だ。
「共産党とは連立しない」「単独過半数を目指す」。枝野代表が強気なのは、総選挙の各種選挙予測でいい数字が出ているからだった。
ところが菅首相の退陣で事態は一変した。オウンゴールを重ねてきた菅首相は、いなくなるのだ。立憲を押し上げてきた最大の功労者が去って行くのである。枝野代表の足元はもろくも崩れた。
かりに岸田文雄前政調会長が新首相になったとする。すでに発表しているようなコロナ対策を強くアピールしていけば、支持率はあがるだろう。医療界が最も求めている野戦病院を政策の4本柱にあげているのだ。
御祝儀相場も含めて新内閣の支持率が上がった分、確実に立憲の獲得票は減る。総選挙まで内閣支持率は上がりこそすれ、下がることはない。言い方を変えれば立憲の支持率は下がりこそすれ、上がることはないのだ。
きょう3日正午過ぎ、菅退陣を受け、枝野代表が国会内で記者会見を開いた。足元が見えていないのだろう。「菅政権の次は枝野政権」とまで豪語した。
選挙の焦点のひとつとなるであろう消費税について田中が質問すると「すでに記者会見などで表明している」。
枝野代表は昂然と言い放つとプイと背中を向けて記者会見場を出て行った。田中が「まだ質問があるんですよ」と言っても、気に留めるようすもなく足早に去って行った。
枝野氏の対話の精神のなさは、原発事故直後の「ただちに影響はない」発言に象徴されている。
岸田前政調会長はどうだろう。人柄をめぐって悪い話は聞こえてこない。
記者会見でも真っ向から丁寧に答える。司会者が「はい、これで記者会見を終わります」と宣言しても、記者から質問が出れば、最後まで答える。
安倍政治を支えてきたとはいえ、対話の精神豊かな岸田氏。嫌な話は切って捨てる枝野氏。
どちらが国民の声に耳を傾けるだろうか。
~終わり~