山本太郎を都知事選候補に祭り上げようというプランは、昨年の秋頃から野党界隈にあった。今になってプランが急浮上した事情とは・・・
立憲民主党の長妻昭・選対委員長が23日、BS日テレで7月5日投票の都知事選挙に「野党統一候補として山本太郎れいわ代表を擁立する可能性がある」と発言し、波紋が広がっている。
山本は25日、京都市長選挙に立っている福山和人候補(共産、れいわ推薦)の応援に入った。
演説が終わると山本は記者団の質問攻めに遭った。「都知事選挙には出るんですか?」と。山本は「京都市長選挙で手一杯」とかわした。
昨年秋ごろからあった「山本太郎擁立プラン」が、この時期に来て突如浮上したのは、京都市長選挙で立憲が自公と共に推す現職候補に黄色信号が灯り始めているからだ。
2018年の京都府知事選挙で立憲は自公と共に、官僚出身の候補を担ぎ上げた。
地元紙の出口調査によると、立憲支持者の6割が共産党系の候補に流れた。理由は相乗り批判だった。
府知事選挙の共産系候補とは、今回、京都市長選挙に立っている福山和人候補だ。今回は れいわ が加わった。
れいわのボランティアが福山和人陣営に入り、電話かけ、ポスター貼り、街宣などを手伝ってきた。
れいわは古き良き自民党のような緻密な選挙をする。手堅いので上滑りせずに票が出る。
今回の市長選挙は2008年の選挙とよく似ているといわれる。この選挙で、共産党系の候補は、951票差で門川に敗れた。
だが、今回はれいわ票が乗る。昨夏の参院選で れいわ が京都市で獲得した票は2万9,656票。単純計算(現実はそうはいかないが)すれば、福山和人候補は2万8,705票差で勝つことになる。
現職の門川候補は多選に加えて、世界遺産である仁和寺の前の大型ホテル建設などで批判を浴びる。しかも相乗りはまったく解消されていない。
マスコミ各社は票読み取材を重ねており、この時期になると、ある程度煮詰まった数字が出てくる。情報は政治部を通じて与野党幹部に流れる。
告示前にあった門川候補の楽勝は消え、追い上げいかんでは福山候補に勝利の目も出てきたようだ。
昨年夏の参院選で立憲民主は、前回の衆院選挙と比べると比例票を約300万票減らした。明らかに れいわ に食われたのである。山本太郎街宣の際、田中は聴衆に片っ端から聞いた。
かつては民主党、民進党、立憲に投票していたという有権者が、「今度はれいわに入れる」と答えた。
れいわに野党共闘の主導権は取られたくない。山本太郎を国政から外したいという思惑が、山本を都知事選挙の候補に祭りあげたのである。立憲のご都合主義には呆れる他ない。
ただし、山本は師匠の小沢一郎をも凌ぐ策士だ。一手も二手も先を読んで大戦(いくさ)を仕掛ける。祭り上げたつもりが、自らの壊滅を招くこともありうる…立憲は覚悟を決めて山本を利用した方がいいだろう。
~終わり~