石原都政の継承を掲げている猪瀬直樹新知事だが、「エ~ッ、こんなことまで?」というのがオリンピックの招致活動だ。
猪瀬知事はきょうの定例記者会見で、2020年のオリンピック・パラリンピックを東京に招致するため9日からロンドンに行き、プレゼンテーションすることを明らかにした。
東京で開催したい理由の一つとして猪瀬氏は「福祉費が増大しているので、スポーツで健康増進し病気にかからないようにしてもらうため」とした。
何か変だ。オリンピック・パラリンピックが東京で開かれたからといって、都民がスポーツをするわけではない。
筆者は質問した。「オリンピックに巨費を投じるより、プールやスポーツ公園などを作った方が都民はスポーツに親しめるのではないでしょうか?」
「巨費は投じない」と知事は否定した。
「これから投じるでしょ?」
「投じないの」
万万万が一、オリンピック・パラリンピックが東京で開かれることになれば、再開発だの会場につながる道路の整備だのに、莫大な費用をかけることになるだろう。
原発事故が収束していない日本に、果たして体が資本のスポーツ選手が集うのだろうか? 「原発事故が収束した」と言い募っているのは日本政府だけで、外国の政府は「福島原発から放射能が今なお垂れ流されている」と認識している。
「巨費を投じない」と猪瀬知事が言い張ったのは、『オリンピックが来ることはない』からだ、と解釈すればすんなり納得がいく。
だいいち、招致理由が薄弱なのである。知事は冒頭「私自身がスポーツマンだ」「空手の黒帯を持っている」「フルマラソンを走れる」と説明した。筆者は噴き出してしまった。ロシアがソチ五輪を招致できたのは、プーチン大統領が柔道の黒帯だからとでも言うのだろうか?
きょうの記者会見では「築地の移転問題」「八丈島の地熱発電」がテーマになった。気味が悪いのは記者クラブがまったく追及しないことだ。疑問を呈するのはフリーランスやクラブ外メディアだけだった。
石原慎太郎前都知事の記者会見もそうだった。2013年も記者クラブに権力の監視を頼むのは無理な注文のようだ。