「国会記者クラブは取材妨害するな」 フリーランスが仮処分申請

国有地に建つ会館は我々の税金で建てられたもの。家賃も払わない国会記者会は、何の権利があって納税者を締め出すのだろうか?=写真:田中撮影=

国有地に建つ会館は我々の税金で建てられたもの。家賃も払わない国会記者会は、何の権利があって納税者を締め出すのだろうか?=写真:田中撮影=

 税金で家賃が賄われている国会記者会館を独占する国会記者会(記者クラブ)と会館事務局長。国権の“最高機関”を自認する記者会と、会館の管理者だ。

 フリーランスらがきょう、国会記者会(記者クラブ)と会館事務局長の佐賀年之氏を相手取り、「取材妨害禁止」を求める仮処分を東京地裁に申請した。訴えたのはフリージャーナリストの寺澤有、畠山理仁、佐藤裕一の3氏。

 寺澤氏らは10月12日、官邸前で行われる原発再稼働反対集会の全景を撮影するために国会記者会館の最上階に上がろうとしたところ、佐賀事務局長が立ちはだかった。

 会館に入ろうとする寺澤氏に対して、佐賀事務局長は「妨害します」を連呼した。申立て書によると佐賀氏は寺澤氏の体を押すなどして入館を阻んだ。

 この模様はYouTube(「国有財産である国会記者会館を記者クラブが私物化」by THE INCIDENTS)に記録されている。今どき制服警察官でもここまで強引な取材妨害はしない。

 訴えの柱は次の通り―
A)寺澤氏らには憲法21条が保障する「表現の自由」の内容をなす報道の自由が保障されるとともに、報道のための取材の自由が保障されている。(佐賀氏は憲法21条で保障されている、この自由を妨害した)

B)衆議院(国)が会館の管理を国会記者会に委託した際に、衆議院(国)と国会記者会に会館の利用者を制限するような取り決めがあるとも考えられない。

C)国会記者会の中心は、日本新聞協会の会員であり、同協会は、記者クラブ自体が「取材・報道のための自主的な組織」であり、開かれた存在であり、記者室の利用を(会員)記者に限る理由がないことを認めている。

ここに行くと佐賀年之事務局長に会える。結構フランクに話してくれるオジサンだ。納税者は訪ねてゆこう。=写真:田中撮影=

ここに行くと佐賀年之事務局長に会える。結構フランクに話してくれるオジサンだ。納税者は訪ねてゆこう。=写真:田中撮影=

   国会記者会館事務局長 「我々は商売マスコミ、既得権益を守る」

 Cは強烈な皮肉だ。歴代外相が、「尖閣諸島に領土問題はない」と言ってきたのに等しい。ところが環境の変化が「ウソ」を許さなくなった。

 記者クラブメディア(新聞・テレビ)は、ハード媒体でネットに押され、お役所発ニュースという内容の寒さで読者、視聴者にそっぽを向かれ始めた。

 ネットを武器にしたフリーランスは、彼らの既得権益を冒す存在にも写る。佐賀事務局長は7月、寺澤氏らと面談した際、次のように述べている。「我々は商売マスコミ。既得権を守りながら、報道の役目を果たす」(申立て書より)。

 語るに落ちるとはこのことだ。「民主主義と言論の自由を守る」と称しておきながら、実態は会社の権益死守に汲々とする記者クラブメディアの本性が現れた瞬間でもあった。

 佐賀事務局長は筆者の電話取材に対して「申立て書を見てから対応を検討する」と答えた。

 ※
国会記者会館をめぐっては、9月にインターネットTV局の代表が「撮影のために屋上を使用させよ」とする訴え(本裁判)を起こしている。

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