「事業仕分け」は平成の事件だった

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会場は傍聴の納税者たちで立錐の余地もないほど混み合った(印刷局体育館。写真=筆者)

 各省庁から予算要求されていた449事業についての無駄を洗い出す行政刷新会議の「仕分け作業」は27日、9日間の日程を終えた。
 税金の使われ方が初めて公開される「事件」だった。事件をひとめ見ようという傍聴者は日を追うごとに増え、後半は会場(印刷局体育館)入り口に長蛇の列ができるほどだった。
 今回の仕分け作業により暗闇から白日の下に引きずり出されたのは、1兆9千億円にものぼる税金の無駄遣いだった。
 補助事業ごとに基金を作る→基金を運営するための法人を作る→下請けの法人を作る→孫請けの法人を作る→やっと事業者本人に金が渡る。
 各法人は天下りを抱える。というより天下りのために作った法人だ。補助金を申請する側は、たまったものではない。「どうしてこんなに複雑にするのか?窓口をひとつにして簡素化できないのか」という仕分け人の問いに、農水省の官僚は「会計検査の手続きが難しくなる」などと屁理屈で答えた。
 官僚がやたらとハコモノを作りたがることも改めて指摘された。35人の研修のために7千平方メートルもの「校舎」建設を予算要求した省もあった。
 既得権益を死守せんとする官僚たちは悲愴でさえあった。予算要求を説明するためにWGに向かう彼らの顔は蒼白で、部下に「おい、急ぐぞ」と声を荒げる上司もいた。
 傍聴者も殺気立った。農水省予算の洗い直し作業(24日)を傍聴していた男性が、官僚の肩を持つかのような発言をした山田正彦副大臣に語気も荒く詰め寄ったのだ。警備員が割って入り暴力沙汰にこそなかったが、税金を食い散らかされた国民の苛立ちの表れだった。
 傍聴者が口々に語るのは「税金がどのように使われているのか、初めてわかった」。ある主婦(都内在住・50代)は「どんなドラマより面白い」と語った。
 行政刷新会議に御願いがある。仕分け人たちが明るみに引き出した事実や金額をファイルにまとめて公表してもらいたい。業務上横領などで立件できる事案もあるのではないだろうか。
 「事業仕分け」は、平成の政権交代によって起きた事件だった。

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