「安倍政権周辺であれば何をやってもいいんだよ。異論を唱える方がおかしいんじゃないの?」・・・最強官庁と官邸がそう言い放っているような光景だった。
女性記者へのセクハラ問題で、性懲りもなく2次被害を出し続ける財務省に、きょう超党派の野党議員が乗り込んだ。福田淳一事務次官の謝罪と麻生大臣の辞任などを求める抗議文を手渡すためだ。
女性議員たちは黒服を身にまとい、『#Me Too』のプラカードを手に持った。野党議員は事実上の事務方トップとなった矢野康治官房長との面会を求めた。ちなみに矢野官房長は安倍首相のお膝元である下関の出身だ。
「(女性記者は)名乗り出るのがそんなに苦痛か?」矢野官房長は国会(18日衆院財務金融委員会)でヌケヌケと答弁した御仁だ。
20人近い野党議員たちが通されたのは地方課の応接室だった。地方課は陳情に対応する部署だ。「我々は陳情(団)か。矢野官房長に会いたい」。野党議員たちは憤った。
財務省は大臣官房総合政策課の木村公一・課長補佐が対応した。仕立てのいいスーツと汚れのない顔。何より30代で課長補佐という肩書がバリバリのキャリア官僚であることを証明していた。
「ここでご要望を聞くことになっております」。木村課長補佐は野党議員たちを睥睨(へいげい)しながら告げた。
引き下がるわけにいかない野党議員たちは、官房長の部屋を目指した。だが衛視たちが人間バリケードを張りブロックした。官房長室に続く堅牢な扉は固く閉ざされているのに衛視たちは立ちはだかった。
「国会議員が国政調査権に基づいて訪ねて来たのに、通さないとはどういうことですか?」。女性議員が詰め寄ったが、衛視たちは全く反応を示さなかった。
「官房長に会わせろ」「不在です」・・・財務省と野党議員の押し問答は約30分間にわたって続いた。
財務省と官邸の魂胆はこうだ ― 24日(火曜)の閣議で福田次官の辞任が閣議決定される。福田次官が役所を辞職し一般人になってしまえば、セクハラの責任を問われることはない。不祥事は「なかったこと」になるのである。いかにも安倍政権らしい やり口 だ。
きょうは週末の金曜日。残るは月曜日(23日)一日だけだ。「このまま逃げ切らせたら日本は終わる」。牧山ひろえ議員(民進)が悲愴な表情で語った。
〜終わり〜