シリア空爆の真意 朝鮮半島緊張で起死回生狙う安倍首相に騙されるな

空爆の翌日、中東情勢に関心を寄せる聴衆が集まり、会場は満席となった。=15日夜、都内 撮影:取材班=

空爆の翌日、中東情勢に関心を寄せる聴衆が集まり、会場は満席となった。=15日夜、都内 撮影:取材班=

 明日17日から4日間の日程で安倍首相が訪米する。森・加計で追い込まれた安倍首相は起死回生の一発を狙ってくるだろう―

 「シリア空爆は北朝鮮空爆の予行演習」と語るのはイスラム法学者の中田考(こう)同志社大学客員教授だ。

 14日、米英仏軍によるシリア空爆は世界に衝撃を与えた。これを受けて翌15日、都内で開かれた緊急講演会で中田氏は「北朝鮮への脅しであり、茶番だ」と切り捨てた。

 講演会で配られたレジュメの日付は2017年4月。シリア政府軍に対するアメリカの空爆は昨年4月6日にも行われていたのだ。空爆の口実として使われたのは100名余りの「一般市民への化学兵器使用」だった。今回と同じだ。

 シリア政府軍の一般市民攻撃では化学兵器より通常兵器の方が多数の被害者を出している。人道上の介入ならば化学兵器が使用されていなくても本格的に介入するはずだ。

 しかもアメリカはロシアに空爆を事前通告しており、兵員に損害は出なかった。本気で戦争しようというのではない。これも昨年の空爆と同じである。

自民党本部に向かって「安倍訪米反対」の声をあげる市民たち。=16日夜、永田町 撮影:筆者=

自民党本部に向かって「安倍訪米反対」の声をあげる市民たち。=16日夜、永田町 撮影:筆者=

 今回の空爆の「直接の原因はトランプ大統領にある」と中田氏は言う。まず、空爆を見送ったオバマ前大統領との違いを見せるという国内向けの意味もある。また、「やる時はやるよ」という実例を見せることにより、北朝鮮の核開発を牽制しようとしたのだ。

 実はシリアはどうでもよく、何も変わりはしない(=アサド政権もシリア国内のロシア軍駐留も続く)、というのだ。

 北朝鮮が対話路線に移行し、ひとり慌てているのは安倍首相だ。モリカケで内閣支持率が30%を切り危険水域に入った。北朝鮮情勢が急激に緊張することで起死回生のチャンスをつかもうとしている。

 夕刊紙は今日、「米シリア攻撃 正恩半狂乱(夕刊フジ)」「自衛隊シリア参戦か(日刊ゲンダイ)」などと大騒ぎを始めた。いま必要なことは安倍訪米に際して、戦争前夜のような空気を醸成させないことだ。本格的戦争が起きるとすれば、一番得をするのは安倍政権なのだから。

   〜終わり~

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