格差と貧困の源を暴き出そう。「公正な税制を求める市民連絡会」は27日、イギリスの市民団体「タックス・ジャスティス・ネットワーク」にスタッフを送った。
タックスヘイブンを利用した富裕層の税逃れを白日の下に曝したパナマ文書。
来月10日にも全容が明らかになる予定だ。日本については400件の個人と企業が登場するという。
ところが菅義偉官房長官は早々と「調査しない」と述べた。記者クラブに対して「書くなよ」という意味だ。
官房長官が脅さなくても、「電通」の名前が出てきたら、メディアは自粛するだろう。
「公正な税制を求める市民連絡会」がスタッフをロンドンに送った理由が上記にある。連絡会はきょう、国会内で「パナマ文書の徹底調査」を求めて記者会見を開いた。
連絡会の合田寛氏は「日本の税収ロスは年べースで2~3兆円にのぼる」と見る。
日本学生支援機構の奨学金貸与事業費が1兆1千億円。タックスヘイブンでの税逃れがなければ、奨学金を給付型にできるのだ。奨学生は苦しまずに済む。
奨学生だった藤川里恵さん(会社員・休職中=24歳)は、次のように窮状を語った。
「一番安い公立大学だったが、4年間で230万円借りた。正社員だが手取りで14万円。奨学金の返済は月1万5千円。体調を壊して休職したら今月の収入は6万円だった」
「お金持ちはいくらでも持っているのに、お金のない人は借金をして最低限の生活もできない。そんなに(税逃れした)お金があるんだったら、奨学金も給付型にしてほしい」。
作家の雨宮処凛さんも財源に注目する ―
「パナマ文書は私たちにとって遠い世界の出来事のように見えるが、そうではない。これまで社会保障の充実を求めてきたが、財源難を理由に(断られ)、苦しめられてきた。でもこれ(パナマ文書流出)で胸を張っていえる。財源はあるじゃないか、と」。
庶民には血の一滴まで絞り採るような課税をする。一方で大金持ちは海外で税逃れをする。この国にあって庶民はもはや奴隷でしかない。
イギリスの市民団体がアップルやスターバックスというような課税逃れ企業の前で抗議行動をして、世論を喚起した。これらの企業もとうとう税金を払うようになったという。
「一般国民が関心を持つことが重要だ」。連絡会・共同代表の宇都宮健児弁護士が強調した。
~終わり~