安倍官邸のニラミを かいくぐって 若手のハト派議員が動き始めた。
自民党の若手議員たちが勉強会をきょう、立ち上げた。その名も「過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会」。
岸田派の武井俊輔議員(衆院・宮崎1区)、國場幸之助議員(衆院・沖縄1区)と無派閥の石崎徹議員(衆院・新潟1区)が発起人。岸田派は自民党ハト派の代表格だった宏池会の流れをくむ。
猛スピードでタカ派路線を突き進む安倍政権にもの申すグループの誕生か?・・・そんな憶測もあり、発足会場となった衆院会館には、マスコミ各社が集まった。
会への参加表明議員は27人、本日の出席議員は24人。
発起人の一人、武井俊輔議員があいさつした。「(マスコミには)センセーショナルな見出しもあるが、あくまでも勉強会」。武井議員は「勉強会」であることを強調した。
中選挙区制の時代、「勉強会」は新派閥の準備段階と見られ警戒された。
会では官邸と谷垣幹事長に「勉強会」の発足を事前に報告した。執行部に警戒されたくないからだ。
初会合の冒頭、谷垣幹事長のメッセージが読み上げられた。「ご活躍された方々の話を聞き政策と政治家の幅を広げて下さい」などとする内容だった。
武井議員によれば、官邸からは「勉強することはいいことではないか」と言われたという。
「あくまでも勉強会だからな…」。党と官邸からの強い牽制球だ。
第1回目の講師は古川貞二郎・元官房副長官。戦後政治の生き字引きのような人物だ。古川氏は「求められる政治家像、政治家としての志」などについて約1時間、講義した。
会では定期的に講師を招き研さんを重ねる。
「勉強した結果、安倍政権の政策とは全く違うことになったらどうするのか?」筆者は質問した。
武井議員は「政策提言するわけではない。あくまでも勉強会」とかわした。
安倍政権が進めているのは保守政治ではない。地域はガタガタになり、富の分配もできていない。
保守系の国会議員によれば「宮内庁も安倍政権を快く思っていない」という。現行憲法の大切さを説く天皇陛下の御宸襟を悩ますなどしているからだ。
上記について筆者は再び質問した。
福田達夫(福田康夫元首相の息子)議員が答えた―「戦後日本の保守政治は長い歴史のなかで存在していた。それをもう一度勉強しようという趣旨だ」。
小選挙区制の下では執行部に反旗を翻せばおしまいだ。05年の郵政選挙がいい例である。潰されては元も子もなくなる。
「あくまでも勉強会」として時が来るのを待つのだろうか。
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