これほど舞台裏を見せてくれる催しが、かつてあっただろうか? 米国の強欲資本主義が「ウクライナ危機を仕掛けたのはウチだよ」と名乗り出たようなものである。
19日、首都キエフのヒルトンホテルで「マイダンから一年」と題するシンポジウムが開かれた。
「マイダン」とはキエフ中心部の広場の名前だが、ヤヌコビッチ前大統領を追い出した勢力がここに結集していたことから、この政変の呼称となった。
シンポジウムに大きく絡んでいるのは、「世界経済フォーラム」だ。ゴールドマンサックスをはじめとするグローバル企業やロックフェラー財団などが出資する団体である。世界を貧困と戦禍に突き落とす強欲資本主義の巣窟と言い換えることもできる。
パソナの竹中平蔵会長が絶賛する「ダボス会議」の主催団体と言った方が分かりやすいだろうか。
世界経済フォーラムは昨年11月、『ウクライナの将来についての戦略的対話』と題するシンポを開いた。
当時、ヤヌコビッチ大統領(当時)はEUとの貿易協定締結を拒否し、ロシアとの関税同盟に加盟するよう迫られていた。
ヤヌコビッチ大統領がEUとの貿易協定締結を拒否すると、マイダンの火が一気に燃え盛った。
世界経済フォーラムは、ウクライナの政財界人を欧米側に引きつけるべくネジを巻いていたのである。
19日に開かれたシンポには、前駐ヨーロッパ米軍総司令官、米国務省高官、駐ウクライナ米国大使らが出席し発言した。
ウクライナ側からは現職の外相、前貿易相、国営石油会社CEOらが出席した。
プログラムは次の4部で構成されている―
1、安全保障の新パラダイム
2.情報戦争
3、新しい市場をつかむ
4、ウクライナ危機後のシナリオ
いずれもウクライナをそそのかす内容となっている。
「ウクライナは世界で最も肥沃な土地に恵まれ、高等教育も行き届いている。経済的に成功する多くの可能性を秘めている」と持ち上げている。
そのうえで「ウクライナの持続可能な経済成長はグローバルエコノミーの文脈の中にある」として西側経済との連携強化を促す。ロシア離れを加速させろ、と言っているようなものだ。
「ロシアからの天然ガスの輸入を減らす・・・」。シンポジウム後半にはウクライナの国会議員から勇ましい発言も飛び出した。
(つづく)