
ガザ内部に向けて砲撃するイスラエル軍戦車。向こうに見えるのは歩兵部隊。=ガザボーダー 撮影:田中龍作=
通訳のパレスチナ人青年の携帯電話が突然鳴った。田中とギャグを飛ばし合っていた青年の顔は一瞬にして真っ青になった。「ハマスからの呼び出しだ」という。08~09年のガザ戦争で現地取材していた時のことだった。
青年と田中は共にハマスのアジトに出頭した。田中は写真とパスポートのコピーを撮られた。
田中が人畜無害の日本人記者だったため厄介なことにならずに済んだが、ハマスの恐怖支配を見せつけられる出来事だった。
アジトを出た後で青年に尋ねた。「ハマスを裏切ったらどうなるのか?」と。
青年は間髪を入れずに答えた。「殴りまくられて最後に撃ち殺されるんだよ」。

人々にとって大切な動力であるロバもイスラエル軍の爆撃で殺された。=ガザ 撮影:田中龍作=
今回(2023年~)の戦争で、イスラエルから徹底的に破壊されるまで警察(武力)も税関(経済)もハマスが押さえていた。
ガザには3ケ所の検問所がある。最北のエレツ、南部のケレームシャローム、最南端にしてエジプト国境のラファである。人間だけが出入りするエレツ以外は税関である。
日常の経済活動に対する税もハマスが取り立てていた。現在はどうなっているのか分からない。

廃墟の中から突然少女が現れた。生き延びていたのだ。=ガザ 撮影:田中龍作=
もう戦争は嫌だ。ハマスの警察力=軍事力から脱出するため、自警団のようなものが出来たが、潰された。イスラエルが潰したのか、ハマスが潰したのか、定かではない。
ネタニヤフとハマスは共存共栄である。ネタニヤフは戦争遂行のためカタールの銀行を通してハマスに巨額の資金援助をしていることが明らかになっている。実録映画『ネタニヤフ調書』が詳報している。
警察がネタニヤフを聴取した時の映像と音声が流出したのである。
現地ジャーナリストの活躍は素晴らしい。イスラエル軍による徹底的な破壊を存分に報道している。
だが、現地ジャーナリストはネタニヤフと共存共栄関係にあるハマスの恐怖支配は伝えない。いや伝えられない。殺されるからだ。
子供や無辜の人々を地獄に叩き込む戦争を終わらせるためには、一方の当事者であるハマスの蛮行も伝えなくてはならない。
そのためには海外のジャーナリストがガザ現地に入るしかない。
~終わり~
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