首相候補に取り沙汰されるなど抜群の人気を誇る小池元防衛相に2人の刺客が送り込まれた。1人目は早くから民主党公認候補として出馬を表明していた江端貴子氏(49歳)。
小池氏の東京10区は、前回(2005年)の衆院選挙で郵政造反議員の小林興起氏に自らが刺客として立った選挙区だ。
民主党の新人江端氏は2日、池袋西口で事務所開きを行った。刺客の刺客が陣を構える事務所は、先の都議選(豊島区)でトップ当選した民主党の泉谷剛氏が使った事務所だ。民主党が大躍進した都議選の勢いをそのまま持ち込もうというねらいである。
江端氏は、「女性のための政治スクール」副校長や東大准教授などを経て、2007年12月に民主党から立候補することを表明した。
小沢代表代行から教えられた「とにかく歩け」を守り、これまでで2万戸以上を訪問した。「小池さんが強いと言うよりも、政治を変えたいという有権者の意識をひしひしと感じる」と江端氏。
【麻生政権迷走で力つけた刺客たち】
久間元防衛相の長崎2区、塩崎元官房長官の愛媛1区など自民党の大物議員の選挙区に民主党は刺客候補を立てている。出馬表明した頃の刺客たちへの評価は「いい戦いをするだろう」「もしかしたら勝つのでは」というレベルだった。
ところが解散が先送りされている間に刺客たちはすっかり顔と政策を地元に売り込んだ。そこに麻生政権の迷走などが重なり猛烈な追い風が吹くようになった。強さを増した刺客たちは必殺仕事人と化すに至ったのである。
東京10区も同様だ。環境相、防衛相などを歴任した小池百合子氏とてウカウカしておれない。危機感を抱く小池氏は、これまで秘書に配らせていた名刺も自らの手で地元の有権者に渡しているほどだ。プライドなど構っておれないのだろう。
【小林興起氏が民主党から比例出馬】
そんな小池氏に2人目の刺客が現れた。前回衆院選で自らが追い落とした小林興起氏(自民→新党日本→国民新→無所属)が今回は江端氏の支援に回るのである。小林氏は民主党公認候補として比例単独で立候補することが決まった。小選挙区(東京10区)での出馬は断念したのである。菅代表代行が2日、江端氏の事務所開きで明らかにした。
小林氏は「敵(小池氏)を利することはしたくない」と理由を語った、という。自らの生き残りもあるが「小池憎し」が、小林氏をして決意させたのだろう。「小林後援会」の票のほとんどは江端陣営に行くことになる。
首相が「ナントカの一つ覚え」のごとく唱えた郵政民営化に同調しなかった議員は公認せず、あまつさえ刺客を送り込む。小泉劇場は極端なまでに善玉と悪玉を峻別する分かりやすさが売りだった。経営者は去ったが、劇場の評判はすこぶる悪い。観客は「主演女優」を務めた小池氏を今度はどう評価するだろうか。
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