
若手警察官僚は木で鼻をくくったような答弁を繰り返した。キャリア組にしてなおかつ在学中に司法試験をパスしたエリートだろう。言葉にソツがなかった。=21日夕、参院会館 撮影:筆者=
準強姦の逮捕状が発行されていながら、被疑者がアベ友のTBS記者であることから警察幹部が逮捕状を握りつぶした -
いわゆる「詩織さん事件」を追及する超党派の議連がきょう、発足。警察庁と法務省からヒアリングをした。
警察庁捜査一課を名乗る官僚は冒頭から「東京地検に送致した、不起訴相当と承知している。警察庁としては申し上げかねる」と答えた。済んでしまった事件だからもう言う必要はない、という理屈だ。
高輪警察署の捜査員はTBS記者・山口敬之の逮捕状を用意しながらも、警視庁刑事部長の指示で逮捕を見送った。
これについて警察官僚は「逮捕状を取得した後でも証拠を精査した際、執行停止にすることはある」とかわそうとした。
だが記者出身の杉尾秀哉議員(民進)は、ゴマカシを見逃さなかった。杉尾議員は記者時代に警察司法回りを4年間経験しているからだ。
「停止をすることはありうるとおっしゃいましたが、寡聞にして執行停止、知らない。刑事部長の一存で執行停止、私はこんなことは少なくとも聞いた事は一件もない。
よくあることのように仰るが全く事実に反する。極めて特異なケースであるということをまず認めなければこの会(超党派の会)は成立しない」。
警察官僚は杉尾議員の追及にまともに反論できなかった。

歯の浮くようなヨイショ本『総理』(幻冬舎)。安倍首相と著者が一体化したような表現が目につく。
「山口の事件じゃなかったら所轄(高輪警察署)の事件だよ」。杉尾議員は断言した。
実際、準強姦で警察本部(東京の場合、警視庁)が捜査に口を出すことはない・・・多くの警察OBが証言している。例えば小野次郎氏など。
山口敬之著『総理』(幻冬舎)が発売されたのは2016年6月9日。不起訴が決まる1ヵ月以上も前だ。
著作の発行人はこれまたアベ友の見城徹。不起訴になることが分かっていて発行したのである。起訴されれば莫大な損失となるからだ。
ヨイショ本『総理』の発売までの時系列が、権力犯罪であることを証明している。
議連事務局長の森ゆうこ議員(自由)が釘を刺すのを忘れなかった。
「個別の案件につき対応できないといういつもの言い訳は、今回通用しない。きちんとした説明で国民の疑念を晴らす。説明責任というのが今、求められている。だからここで答えられないと言って帰ってしまうのではなく、官邸と相談して下さい」。
警察官僚は「官邸に相談する必要ない」と突っぱねた。あくまでも官邸の関与を否定する構えだ。安倍一強の中核を占める警察機構が、力づくで権力犯罪を揉み消してしまうのだろうか。

「『総理』という本まで出した著名ジャーナリストですよね」・・・森ゆうこ議員(左)は官邸の関与を指摘した。=21日夕、参院会館 撮影:筆者=
~終わり~