【ロヒンギャ難民キャンプ発】ミャンマー政府「第一陣1,258人の強制送還リスト」極秘扱い

ミャンマーでよほど恐ろしい目に遭ったのだろうか。女の子は暗い目をしていた。=19日、ロヒンギャ難民キャンプ 撮影:筆者=

ミャンマーでよほど恐ろしい目に遭ったのだろうか。女の子は暗い目をしていた。=19日、ロヒンギャ難民キャンプ 撮影:筆者=

 ミャンマー政府は何を焦っているのだろうか?

 バングラの英字有力紙the daily observer(18日付) はミャンマー政府の発表としてロヒンギャ難民の強制送還開始が23日になることを伝えた。あくまでも「ミャンマー政府の希望」である。「第一陣は1,258人を引き戻したい」というのだ。

 第一陣の内訳はヒンズー教徒が508人、イスラム教徒が750人。計1,258人の詳細なリストはミャンマー政府からバングラ政府に手渡されているとされる。

 一方、バングラ政府の対応はまだ鮮明ではない。田中は地元記者と共に難民キャンプを管理するコックスバザール県ウキヤ郡郡長の官舎を訪ねた。郡事務所は金曜礼拝の日で休みだ。

 ところが郡長は午前10時30分であるにもかかわらず、「まだ寝ている」とのことだった。地元記者が昨夜(18日)、アポを取っていたにもかかわらずだ。

 リストの件を人づてに聞き知っている難民もいた。国軍に家を焼かれ妻と4人の息子と共に逃れてきた27歳の男性は「誰がリストに入っているのかは、分からない」と首を傾げながら話した。

ミャンマーからの流出がまだ止まらない。にもかかわらず、強制送還第一陣のリストがバングラ政府に渡された。=漂着した難民がまず収容される施設・サブロング村 18日、筆者撮影=

ミャンマーからの流出がまだ止まらない。にもかかわらず、強制送還第一陣のリストがバングラ政府に渡された。=漂着した難民がまず収容される施設・サブロング村 18日、筆者撮影=

 モニール・モハンマドさん(60歳)も国軍に家を焼かれ、家族6人でミャンマーを脱出した。

 モハンマドさんも23日の件は人づてに聞いて知っていた。リストについて聞くと「ミャンマーに連れ戻され国軍に見つかれば殺される」と幾度も首を横に振った。

 日本の刑務所は、死刑執行日の朝まで死刑囚には何も知らせないという。その日になっていきなり死刑執行を知らせ刑場に連れて行くのだそうだ。

 ロヒンギャ難民キャンプでもいきなり、その日の朝、連れに来るだろう。さもなくばロヒンギャたちは難民キャンプからも脱出するだろう。

 帰れば殺されるのが分かっているからだ。

 バングラのジャーナリストは「ロヒンギャ難民の強制送還リストはトップシークレットになっている」と話す。

 郡長が地元記者に会わなかったのはそのためだろう。昨夜の時点では「あす官舎に来いよ」とまで言っていたのだから。

ミャンマー政府はラカイン州の北部に強制送還した難民を一時収容する施設を作るというが。=地図作製:塩田涼=

ミャンマー政府はラカイン州の北部に強制送還した難民を一時収容する施設を作るというが。=地図作製:塩田涼=

   〜終わり~

  ◇
読者の皆様。ロヒンギャ難民問題は日本政府のミャンマー支援が第2の惨劇を引き起こしかねません。その実情を伝えるために現地取材に来ました。カードをこすりまくっての借金です。ご支援なにとぞ宜しくお願い申し上げます…https://tanakaryusaku.jp/donation

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

バングラデシュ