【ガザ点描】カゴの鳥の夢は束の間にして破られた

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ガザ国際空港。滑走路は見渡す限り「がれきの海」だった(19日。写真:筆者撮影)

 ガザは陸地のほとんどをイスラエルに囲まれる。わずかな残りをイスラエルと和平協定を結んでいるエジプトが塞ぎ、地中海はイスラエル海軍が厳重に固める。まさしくカゴの鳥状態だ。

 カゴの鳥が空にはばたく機会が一度だけあった。ガザ国際空港の開港(1998年)だった。PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長が世界各国から集めた支援金で建設したことから「ヤセル・アラファト空港」とも呼ばれる。

 「屈辱的な目に遭うイスラエルの検問所を通ることなく世界に飛び立てる」。ガザの人々は解放感に沸いた。だがそれも束の間。2000年に「アルアクサ・インティファーダ」が発生するとイスラエル軍は真っ先にガザ国際空港を叩いたのである。

 F16戦闘爆撃機が3,000メートル滑走路をじゅうたん爆撃した。管制塔をはじめとする空港ビルを破壊することも忘れなかった。

 エジプト国境の間近にあるガザ国際空港を訪れた。パレスチナ人にとって希望の灯火だった空港は「がれきの海」と化していた。アスファルトが長さ70~80センチ、幅50~60センチの菱形に砕かれている。不気味な菱形は見渡す限り続く。破壊の凄まじさには息を飲むしかなかった。

 イスラエル軍は新型爆弾のテストでもしたのだろうか。それともパレスチナ人が空港を持つことが忌々しかったのか。空港近くにはイスラエルの監視塔があり、望遠カメラが四六時中、目を光らせる。万が一にでもパレスチナ人が空港を再建したりすることのないように見張っているのだ。

 第3次中東戦争(1967年)以来、イスラエルの軍事占領下にあるガザ。空港が機能したわずか2年間をのぞく40年余り、パレスチナ人は東京23区の半分ほどの狭い土地に閉じ込められたままだ。

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ガザ国際空港はエジプト国境沿いの町にある(地図作成:塩田涼)

                         

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